【検証・テスト】状態遷移テストについて

【検証・テスト】状態遷移テストについて

2026.07.7 第三者検証・ソフトウェアテスト

雨降りの日が続き、あじさいの花が鮮やかに映える季節になりましたね。
皆さん、こんにちは。
梅雨が続いている昨今。お気に入りの傘を持っていても、なんとなく気分が沈みがちになったり、
急な豪雨に予定を狂わされたりすることはありませんか?

 

実は、私たちが日々向き合っている「ソフトウェアの世界」にも、そんな梅雨の天気のような「急な変化」が溢れています。
昨日まで完璧に動いていたシステムが、ある操作をきっかけに予期せぬ挙動をしてしまう。
そんな開発現場の「もしも」を救う強力な味方、「状態遷移テスト」について、今回はご紹介します。

■システムの「状態変化」を可視化する状態遷移テストとは

状態遷移テストとは、一言で言えば

「システムが今どんな状態で、特定のイベント(操作や入力)が起きたときにどう変化するのか」

を検証する手法です。

 

人間だって、同じ頼み事をされても、機嫌が良いときなら「いいよ!」と引き受け、
忙しくてイライラしているときなら「あとにして!」となりますよね。システムもこれと同じように、
同じ操作でも、システムが現在どの状態にあるかによって振る舞いが変わります。

 

この「状態の移り変わり(状態遷移)」を網羅的に検証するために、
私たちは主に2つの強力なツール(設計書)を使います。

 

① 流れを視覚的に捉える「状態遷移図」

システムの全容を丸や矢印で表したマップのようなものです。
例えば、ECサイトの注文をイメージしてみましょう。

 

・「買い物かご」 の状態

注文ボタンを押すと ➡ 「決済中」 の状態へ

決済が成功すると ➡ 「発送待ち」 の状態へ

 

このように、システムが今どこにいて、どこへ向かうのかという「正しいルート」を
パッと見でわかるように見える化したものが「状態遷移図」です。

 

② 抜け漏れをあぶり出す「状態遷移表」

図だけでは見落としがちな「意地悪な操作」を網羅するために、縦軸に「現在の状態」、
横軸に「イベント(操作)」を並べたマトリクス表(掛け算九九のような表)を作ります。

ここで特に重要になるのが、「無効遷移(むこうせんい)」の洗い出しです。

 

■無効遷移とは?

「その状態のときには、本来やってはいけない(起こるはずがない)操作」のことです。
例えば、すでに商品を発送した「発送待ち」の状態のときに、
ユーザーが「注文確定ボタン」をもう一度押せるようになっていたらおかしいですよね。

 

「決済中」のときにブラウザの「戻る」を押したらどうなるか? 画面を連打したらどうなるか?
こうした「無効遷移」が起きたときに、システムがパニックを起こさず、

きちんと「ボタンを非活性(グレーアウト)にする」、「エラーメッセージを出して遷移を遮断する」

といった制御ができるかどうかを確かめるのが、状態遷移表の最大の強みです。

 

この表のマス目を一つずつ埋めていくことで、「仕様書に書かれていない、開発者も想定外だった挙動(バグ)」
を洗い出すことができます。

特に、仕様書の行間を読み解き、隠れたバグを見つけ出すために、
私たち「品質管理チーム」においては極めて重要なアプローチとして位置づけられています。

 

■なぜ品質向上に「状態遷移テスト」が必要なのか

開発現場では、終わらないバグ対応に悩まされることがあります。
例えば、次のような壁にぶつかることが珍しくありません。

「単体テストは全部パスしたのに、画面を特定の順番でポチポチ触ったらフリーズした…」
「ログイン画面は正常。マイページも正常。なのに、ログアウト直後にブラウザの『戻る』を押したらエラーを起こした…」

 

ひとつひとつの機能は正しい。なのに、「操作の組み合わせやタイミング」によって、システムは予期せぬ挙動を見せます。
複雑に絡み合った現代のシステムを安定して動作させることは、本当に至難の業です。
そんな開発現場において、システムの状態変化を整理し、抜け漏れなく検証するための手法こそが、状態遷移テストなのです。

 

開発担当者だけではどうしても見落としがちな「複雑な遷移パターン(無効遷移を含む)の漏れ」を防ぐためにも、
専門的な知見を持つ「品質管理チーム」による徹底的なテストが今、多くの現場で求められています。

 

■このテストの価値と弊社での活用例

例えば、私たちが日々の業務でよく手掛けるワークフローシステムを例に挙げてみましょう。
「差し戻しからの再申請」というシチュエーションは、ユーザーにとって「ストレスが溜まり、不安になる瞬間」です。

せっかく苦労して修正し、「今度こそ!」と意を決して再申請ボタンを押したのに、
そこでシステムエラーが出たらユーザーの心は折れてしまいます。

だからこそ、私たちの「品質管理チーム」では、以下のような「状態遷移表」を設計し、
ユーザーの不安に先回りして検証を行っています。

 

【ワークフローにおける状態遷移表のイメージ】

〇現在の状態 \ イベント(操作) ・再申請ボタンを押す ・ブラウザの「戻る」を押す
・差し戻し中 ⇒ 【ステータス変化】審査中へ

(完了メッセージを表示)

⇒ 【状態維持】差し戻し中のまま

(入力データは保持)

・審査中 ⇒ 【無効遷移】操作不可

(ボタン連打による二重申請を防止)

⇒ 【無効遷移】操作不可

(処理中につき画面遷移をロック)

 

このように、「今のシステムの状態」と「ユーザーが起こす操作」を掛け合わせた表を用いて、私たちは以下のような価値を届けています。

 

①「不安」を「安心」に変える検証

単にエラーが出ないだけでなく、「再申請が完了しました」というメッセージで、
少しナーバスになっているユーザーをホッと安心させるまでを確かめます。

 

②ユーザーの「努力の結晶」を守る

不安からボタンを連打してしまったり、ブラウザの「戻る」を押したりといった「想定外の操作」

を先回りして試し、ユーザーの苦労をなるべく無駄にしないようデータを守り抜きます。

 

③人と人の信頼を繋ぐ

再申請された際、承認者側の画面でも対象案件のステータスが「未申請」から

「要再確認」へ正しく遷移するかどうか。
ここがスムーズに動くことで、社内のコミュニケーションを円滑にし、業務上の認識齟齬を防ぎます。

 

■品質という名の「安心」を、届けるために

状態遷移テストを設計するのは、正直に言うと少し泥臭くて、頭を悩ませる作業です。
すべてのルートを洗い出し、表を埋めていく作業は、気が遠くなるように思えるかもしれません。
しかし、その苦労の先には、何物にも代えがたい大きな安心につながります。

 

網羅されたテストをクリアしたシステムは、どんな操作をされても、どっしりと構えて正しく振る舞ってくれます。
それは、私たち作り手にとっても、そして実際にシステムを使うユーザーにとっても、非常に価値のあるものです。

 

「どんな順番で触られても、このシステムは安定して動作する」
そう胸を張って言える品質を手に入れたとき、開発チームの達成感は最高潮に達します。

 

■まとめ

状態遷移テストは、単に仕様書通りに動くかを調べるだけの「機械的なバグ探し」ではありません。
ユーザーが次のステップへ進む際の離脱や不安をなくし、最後までスムーズにシステムを
利用してもらうための、UX(ユーザー体験)に配慮した不可欠な検証プロセスです。

 

私たち品質管理チームは、このテストを通じてシステムの確かな品質と安定稼働を支えています。
システムの新規構築や改修を検討される際は、ぜひ本記事でご紹介した手法をご活用いただけますと幸いです。

お気軽にお問い合わせください。
[ 東京支店 ]

03-6435-8035

9:30~18:30 土日祝祭日休

アクセスマップはこちら

[ 沖縄本社 ]

098-882-0717

9:30~18:30 土日祝祭日休

アクセスマップはこちら

[ メールでのお問い合わせ ]

お問い合わせフォーム

公式アカウントをフォロー
最新記事をお届けします。

第三者検証・ソフトウェアテストの関連記事

お問合せはこちら

お問合せは
こちら